インプラント治療の方針
歯周病治療の延長線上です
インプラントは歯周病に対する1つの治療手段で、審美性と機能性を両立させる治療です。
片岡歯科紺屋町診療所では、インプラント治療を主として行っているわけではありません。インプラント治療は歯周病治療の中でのひとつの手法であって、
インプラント治療をすれば全てが治癒するわけではない
からです。
治療フロー
歯周病治療の延長線上にインプラント治療があります
初診 | 歯周病組織検査と診断をします |
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歯周病基本治療・再評価検査 | 歯周病の基本的な治療を行い、再評価の検査を行います ここで外科的な治療が必要な場合は外科的治療を行い、再評価検査をします |
口腔機能回復治療 | 歯周治療で改善が見られた場合、治った歯に対して被せ物(冠)、ブリッジや入れ歯(義歯)を装着しますが、ここでインプラント治療を行うかどうかの判断になります。 |
歯周組織およびインプラント周囲組織検査 | 治療を行った部位の改善状態を確かめるための検査です。この結果を基にメインテナンスへの移行を決めたりします。 |
治癒時・・・メインテナンス | 治療が終わっても、治療が完全に終わったわけではありません。定期的に口の中、歯の周りの組織のチェックを受けること(メインテナンス)が必要となります。 |
病状安定時・・・SPT〈サポーティブペリオドンタルセラピー〉 | 病状の安定を維持するためのプラークコントロール・スケーリング・ルートプレーニング・咬合調整などの治療を主体とした定期的な治療です。 |
治療例
歯肉移植
治療前は、赤の矢印で示すように、右下の奥歯にブリッジが入っていました。ちょうどその部分に角化歯肉と言われる構造が、ありませんでした。
角化歯肉とは、骨に付着している頬や唇をひっぱっても動かない可動性のない硬くて厚い歯茎のことで、歯周組織を支えており、抵抗力がありブラッシングや細菌などの外部からの刺激に耐えられる歯肉のことになります。
この角化歯肉があることで、ブラッシングもしやすくなり、インプラントやクラウン、ブリッジ等のかぶせ物をした場合の長期安定性につながります。
治療後に、緑の矢印でしめすように、歯肉の厚みが増加していることが分かるかと思います。インプラントと骨の移植を行った後、角化歯肉が不足していたため、歯肉の移植を行ったことで、治療前は全くなかった角化歯肉を作ることができ、インプラント周囲をブラッシングしやすい状態に改善しました。
両隣のブリッジでかぶせていた歯も治療を行い、治療が終了となりました。なかなか分かりにくい処置ではあるかと思いますが、このような処置が日々のブラッシングのしやすさにつながり、それが治療の長期安定性につながると考えています。
治療例
友人からの紹介
この患者さんは、大学時代の友人からの紹介で、当院でインプラント治療をされた患者さんです。
治療前
初めて来られた時は、ハブラシの状態が悪く、歯茎が腫れていたり、その他さまざまな問題もあり、とてもインプラントができる状態ではありませんでした。
治療後
インプラントは虫歯にはなりませんが、お口の中が清潔な状態に保てていなければ、自分の歯と同じように、歯周病にはかかってしまいます。そのため、当院ではご自身で歯ブラシを適切に当てることが出来て、お口の中を清潔に保つことが出来たり、歯茎の状態が整うまでインプラント治療を行うことはありません。お口の中が歯周病にかかったままの状態でインプラントをするとどうなるか・・・容易に想像がつくかと思います。
どんな治療も、適切に治療しなければ長持ちしません。せっかくインプラントをするのであれば、できるだけトラブルなく機能してほしいと考えています。
そのために、まず必要な処置を一つずつ行っていく。小さなことの積み重ねが、結果治療の長期的予後につながると考えています。そのため、どうしても治療期間は長くなりますが、ご理解いただけると幸いです。
治療例
インプラントを含めた治療
治療前
歯が1か所完全に割れており、インプラント治療のため、他の歯科医院の先生から
当院を紹介され来られた患者さんでした。インプラント治療終了後、その他の歯も治していきたいとのことにてその他の歯の治療を開始していきました。
治療後
インプラントを含めると1年半ほど治療にかかりました。歯の治療は、どうしても時間がかかります。定期的に通院していただいて治療を継続していくことも、治療を成功に導く大きな因子の一つかなと思います。治療が終了した後は、定期的なメンテナンスを行い、できるだけ現状を維持できればと考えています。
治療例
メリットとデメリット
他院からの初回で奥歯がない状態で来院され、インプラントで咬合を再建しました。
治療前
治療後
どんな治療にもメリット・デメリットがあります。患者さんの年齢や口腔内の状態、さまざまな要因で、治療のメリット・デメリットの大きさは、変わってきます。患者さんの状態によって、受ける治療のメリット・デメリットは異なるので、治療を受ける際は、よく説明を受けられてからの方が、安心して治療を受けることが出来るかなと思います。
インプラントや入れ歯、ブリッジもそれぞれメリット・デメリットがあります。
なかなか難しいのですが、それぞれの患者さんに、ベストの治療法が提案できればなと思います。