根管治療とは
歯の根の病気(根尖病変)を治療・予防するものです
根管治療とは、リーマーやファイルと呼ばれる器具で細菌に感染してしまった歯質や神経を徹底的に除去し、歯の根の病気(根尖病変)を治療・予防するものです。「Root Canal Treatment」を略して「RCT」とも呼ばれます。
虫歯が歯髄まで進行(C3以上)した場合や、根の病気になってしまった場合には、この根管治療が必要になります。しかし、この根管治療(歯の神経・根の治療)は実はかなり難しいのです。なぜなら、根っこの中は直接見ることができず、形も人それぞれなので完全に細菌を取り除くことが非常に難しく、しかも細菌を取り残した状態で詰め物を詰めたり、クラウン(差し歯・かぶせ物)をかぶせてしまうと、後々細菌が増殖してトラブルが出てきてしまうこともあるからです。
歯の治療は本来とても時間と手間がかかるものです。片岡歯科では、根管治療が非常に重要と考えているため、治療時間を最低1時間取らせていただき治療を行っています
治療期間について
「歯医者に行ってるのに直らない!」のは根管治療です
細菌を取り残した状態で詰め物を詰めたりクラウンをかぶせてしまうと、後々トラブルが出てきて大変な思いをすることになるので、根管治療は非常に重要な治療です。
いつまでたっても直らない場合には歯が割れていたり、歯根の形が非常に複雑だったりする可能性もあり、抜歯になったり根の先を切る手術(歯根端切除術)が必要になることもあります。
治療器具・用具について
当院での技術参考にご覧ください
ラバーダム防湿
ラバーダムは、治療中に根管内に細菌が進入するのを防ぐために非常に重要です。また、根管治療の際に使用する薬液から粘膜を保護したり、リーマー、ファイルの誤飲・誤嚥防止にも役立ちます。
protaper
プロテーパーはニッケルチタンで出来た超弾性の根管拡大用ヤスリです。
スーパーエンドβ
スーパーエンドは緊密に樹脂を充填するためのものです。
10倍ルーペ
10倍の拡大鏡を使用しています。
Leica M320 F12
この顕微鏡は微細な部分も観察できる高い光学品質と、長期にわたり快適に治療を行えるよう人間工学的なメリットも提供します。フル HD カメラで撮影した動画や静止画を使って患者様へ治療の説明をすることができ、またそのデータを患者様のカルテに転送し、包括的に記録することで、患者様との信頼関係をサポートすることができます。
治療例
痛みの原因
青の矢印の歯が痛むと来られた患者さん。
この歯は、上顎第一大臼歯と言われる前から6番目の歯になります。
通常この歯の神経の通り道は、3本あり、約50%で4本あると言われています(もう少し高い確率であるよな気がしてます)。
あけてみると、案の定4本神経の通り道が。
赤の矢印で示しているものが、通常あると言われている3本の神経の通り道で、緑の矢印で示しているものが、4本目の神経の通り道になります。4本目の神経の通り道が、痛みの原因の全てではないですが、痛みの原因となりうるものを一つずつ改善していくことが、治癒につながるかと思います。
当院では、歯周病の治療だけでなく、歯の神経の治療にも力をいれて取り組んでいます。そのため、1回の治療時間が1時間以上におよんだり、ラバーダムという器具をつけて治療を行うので、患者さんには治療中少ししんどい思いもあるかとは思いますが、歯をできるだけ長期的に機能させるために必要な処置ですので、ご理解いただけると幸いです。
治療例
歯根端切除術
治療前
治療前の赤い線で囲まれた部分が簡単に言うと、骨が溶かされている部分で、
状態の余り良くない部分になります。
術後1年7ヶ月
様々なことを総合的に考えて、MTAセメントを用いて歯根端切除術という手術を行いました。
1年7ヶ月後のレントゲンで、緑の線で囲まれている部分が小さくなってきているのがわかると思います。歯の周りに骨が再生してきていると思われます。これから経過をしっかり追っていく必要はあるかと思いますが、取り合えず一安心です。
どんな治療も一発勝負ですが、特に、歯を残せるか残せないかの瀬戸際の治療の経過がいい方向に向かうとホッとします。
インプラントや入れ歯、ブリッジなど様々な治療法が存在しますが、やはり自分の歯に勝るものはないので、出来るだけ歯が保存できるような方向で治療を行っていけたらと思います。治療後の状態を把握するためにも、衛生士やドクターによる定期的なメンテナンスは欠かすことはできません。
治療が終わったら終わりではなく、その状態をできるだけ長期に維持するために、これから始まると思っていただけると幸いです。